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大阪高等裁判所 昭和35年(く)94号 決定 1960年12月23日

少年 N

主文

本件抗告を棄却する。

理由

抗告の理由は、今回の事件は少年が主犯としてなしたものではなく、少年は気が弱いので他の非行少年の非行を善導するだけの力がなく他の少年の非行を見逃がす結果となつたものと確信する次第であり、私達家族は少年を悪友から避けるため本年九月中頃現在のところに引越すなど少年の将来を考えており、本人も今迄の友達と一切縁を切つて更生することを誓つているので、原裁判所に再考の機会を与えられたいというのである。

抗告人らは本件恐喝の非行について少年は主犯ではなく友達の非行を見逃がしたに過ぎないように主張するけれども、記録によると、なるほど被告人は非行の実行行為には加つていないとはいえ、実行行為者に変装用めがねを貸したりして暗黙のうちにこれらの者と恐喝の非行をすることを共謀していることが明らかであるから、原決定が少年の恐喝の事実を認めたのは相当であつて、この点について事実誤認はなく、又少年調査記録によつて明らかなように少年はすでに昭和三三年九月二二日窃盗傷害保護事件について、昭和三五年四月二一日傷害、恐喝、横領、窃盗保護事件について、それぞれ大阪家庭裁判所で保護観察に付せられながら、更に本件非行に及んだことに徴すると、少年の非行性は相当根強いものがあり、在宅保護によつては少年の改善は到底覚束なく、原決定が少年を中等少年院に送致したのはやむをえないと思われるのであつて、結局原決定には処分の著しい不当があるとはいえないから、本件抗告は理由がない。

そこで、少年法三三条一項に従い主文のとおり決定をする。

(裁判長判事 小田春雄 判事 山崎寅之助 判事 竹中義郎)

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